家賃滞納があると
契約更新を拒否される?

公開日: 2026729

「滞納したことがあるから、次の更新で追い出されるのでは」という不安はとても多い相談です。 結論から言うと、過去に短期の遅れが数回ある程度で更新を拒否されることは、実務上ほとんどありません。 日本の借地借家法は入居者を強く保護しており、貸主が更新を断るには高いハードルがあるためです。 この記事では、更新拒否が現実になる条件と、更新時期に滞納がある場合の正しい動き方を解説します。

この記事でわかること

  • 貸主からの更新拒絶には借地借家法の「正当事由」が必要で、軽微な滞納歴だけでは認められにくい
  • 要件を満たさない更新拒絶では契約が「法定更新」され、同条件で住み続けられる
  • 危険なのは「更新時点で滞納が続いている」状態。信頼関係の破壊と判断されると解除・退去につながる
  • 更新の案内が来たら、滞納があっても放置せず、支払計画を伝えたうえで手続きを進める
  • 更新料が払えない場合は更新前に分割相談。放置すると債務不履行になる

更新拒否のハードルは高い(法定更新の仕組み)

貸主からの更新拒絶と法定更新の流れ: 通知期限と正当事由の両方を満たさなければ契約は同条件で自動継続(法定更新)される図解
更新拒絶が有効になる条件 — 2つのハードルを越えなければ「法定更新」で契約は続く

普通借家契約(一般的な2年契約)では、貸主の側から更新を拒絶するために、 期間満了の1年前から6ヶ月前までに通知を行い、 かつ「正当事由」が必要と定められています(借地借家法26条・28条)。 正当事由とは、貸主自身がその建物を使う必要性や建物の老朽化など、 貸主側の切実な事情のことで、簡単には認められません。

状況更新への影響
過去に1〜2回、数日〜数週間の遅れ(解消済み)影響はほぼなし。通常どおり更新される
遅れが繰り返されている(毎月のように遅れる等)更新は多くの場合可能だが、貸主との関係は悪化。改善を求められることがある
更新時点で複数ヶ月分の滞納が未解消危険。更新拒絶や信頼関係破壊を理由とする契約解除の材料になる

要件を満たさない更新拒絶は「法定更新」になる

貸主が通知期限を守らなかったり、正当事由がなかったりする場合、 契約は自動的に従前と同じ条件で更新されます(法定更新)。 法定更新後は「期間の定めのない契約」となり、更新料の支払い義務も原則発生しません。 「更新しない」と言われても、それだけで退去義務が生じるわけではないことを知っておいてください。

更新拒否・解除が現実になる3つのケース

入居者保護が強いとはいえ、無条件ではありません。 裁判所が重視するのは「貸主と借主の信頼関係が壊れているか」です。 次の3つに当てはまる場合は、更新拒否や契約解除が現実味を帯びます。

1. 更新時点で3ヶ月分以上の滞納が続いている

3ヶ月分以上の滞納は、判例上「信頼関係の破壊」と判断されやすい水準です。この場合、更新拒絶を待つまでもなく、期間の途中でも契約解除・明け渡し請求が可能になります。

2. 督促を無視し続けている

金額よりも「対応しない態度」が信頼関係を壊します。連絡を絶ち、書面も受け取らない状態が続くと、貸主側の法的手続きを正当化する事情として積み上がります。

3. 滞納以外の契約違反が重なっている

無断ペット飼育・騒音・無断転貸など他の違反と滞納が組み合わさると、総合的に信頼関係破壊と評価されやすくなります。

更新時期に滞納がある場合の動き方

更新の案内が届いたのに滞納が残っている場合、最悪の選択は「気まずいから放置する」ことです。 更新手続きの放置は、貸主側から見ると「退去の意思がある」「対応しない入居者」という 2つの誤ったシグナルになります。動き方は次の順番です。

① 滞納分の支払計画を先に連絡する

管理会社(または督促元の保証会社)に電話し、「いつ・いくら払えるか」を具体的に伝えます。言いづらい場合は、そのまま読める電話台本を用意しています。

② 更新の意思をはっきり伝える

「更新して住み続けたい」と明言してください。支払う意思と住み続ける意思の両方が伝われば、貸主側にも法的手続きより穏当な解決を選ぶ理由が生まれます。

③ 更新書類は期限内に返送する

書類の返送遅れは、それ自体が不信感の材料になります。滞納の解消と更新手続きは切り分けて、手続きは淡々と進めるのが正解です。

「更新できないかも」と自分から退去を決めない

不安から先回りして退去を申し出てしまうと、引っ越し費用と新居の審査という より大きな負担を自分から背負うことになります。滞納歴があると新居の審査は不利になるため、 いまの部屋に住み続けるほうが立て直しは容易です。退去の判断は、 支払計画の相談を尽くした後でも遅くありません。

更新料が払えないときの対処

更新時期には、更新料(家賃1ヶ月分前後)・火災保険料・保証会社の更新保証料が重なり、 出費は家賃の1.5〜2ヶ月分に達することがあります。契約書に定めのある更新料は 支払義務が判例で認められているため、「払わない」選択肢はありませんが、「更新前に分割を相談する」ことは可能です。 管理会社にとっても、退去されて空室になるより分割で更新してもらうほうが合理的なため、 相談に応じてもらえるケースは珍しくありません。

一時的な資金不足であれば、公的な貸付・給付制度で更新費用を工面できる場合もあります。

よくある質問

家賃を滞納したことがあると、契約更新を断られますか?

1〜2回の短期の遅れで更新を拒否されることは、実務上ほとんどありません。貸主が更新を拒否するには借地借家法上の「正当事由」が必要で、軽微な滞納歴だけでは正当事由として認められにくいためです。ただし、更新時点で数ヶ月分の滞納が解消されていない場合や、長期の滞納を繰り返している場合は、信頼関係の破壊を理由に更新拒否や契約解除につながる可能性があります。

更新の通知が来ましたが、いま滞納があります。どうすべきですか?

更新手続きを放置するのが最も危険です。まず滞納分について管理会社・保証会社に連絡し、支払計画を伝えたうえで更新手続きを進めてください。滞納があっても、支払う意思と計画を示している入居者との契約を貸主側から打ち切るのは容易ではありません。

更新料が払えない場合、滞納扱いになりますか?

更新料の支払いは契約書に定めがあれば法的義務です(最高裁判例で有効性が確認されています)。払わないままだと債務不履行となり、家賃滞納と同様に督促・法的手続きの対象になり得ます。一括が難しい場合は、更新前に管理会社へ分割の相談をしてください。

「更新しません」と言われました。すぐ退去しないといけませんか?

すぐに退去する必要はありません。貸主からの更新拒絶には期間満了の1年前から6ヶ月前までの通知と正当事由が必要で、要件を満たさなければ契約は「法定更新」され、従前と同じ条件(期間の定めなし)で継続します。通知が来ても、まず内容と理由を確認し、納得できなければ自治体の無料法律相談や弁護士に相談してください。

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