生活保護で家賃はいくらまで?
住宅扶助の仕組みと滞納がある場合の申請

公開日: 2026年7月28日
この記事はこんな人向けです
- ・収入がほぼなく、家賃だけでなく生活費全体が払えない
- ・生活保護で家賃がどう扱われるか知りたい
- ・滞納がある状態で生活保護を申請できるか不安
- ・窓口で断られた経験がある
「収入はあるが今月だけ足りない」方は住居確保給付金(返済不要)が先に検討すべき制度です。
収入が途絶えて家賃が払えず、督促も止まらない——。その状況が続くなら、 生活保護は検討すべき正当な選択肢です。生活保護には家賃に充てる「住宅扶助」が含まれており、滞納があっても申請できます。 この記事では住宅扶助の仕組みと、申請前に知っておくべき現実的なポイントを解説します。
この記事でわかること
- 生活保護には家賃分の「住宅扶助」が含まれ、地域・世帯人数ごとの上限額まで実費支給される
- 家賃滞納があっても申請可能。ただし滞納分の返済には保護費を充てられないのが原則
- 代理納付(役所→大家に直接支払い)にすれば、保護開始後の新たな滞納を防げる
- 申請は福祉事務所へ。「申請します」と明確に伝えれば、原則14日以内に決定される
住宅扶助とは — 家賃はどう支給されるか
生活保護費は「生活扶助(食費・光熱費など)」と「住宅扶助(家賃)」などの組み合わせで構成されます。 住宅扶助は実際の家賃額を上限の範囲内で実費支給する仕組みで、 生活費とは別枠です。多くの自治体では、受給者の家賃滞納を防ぐため、 福祉事務所から大家・管理会社へ家賃を直接支払う「代理納付」も利用できます。
代理納付は督促を止める仕組みとしても有効
保護開始後の家賃が確実に支払われるため、保証会社・管理会社からの督促の原因そのものがなくなります。 申請時にケースワーカーへ「代理納付を利用したい」と伝えておくとスムーズです。

上限額の目安と超えている場合の転居指導
住宅扶助の上限(基準額)は「級地」と呼ばれる地域区分と世帯人数で決まります。 単身世帯の目安は次のとおりです(実際の額は必ずお住まいの福祉事務所で確認してください)。
| 地域の例 | 単身世帯の上限の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 東京23区(1級地-1) | 53,700円 | 2人世帯は64,000円など人数で増額 |
| 政令市など都市部 | 40,000〜48,000円前後 | 自治体により異なる |
| 地方都市・町村部 | 30,000〜38,000円前後 | 自治体により異なる |
家賃が上限を超えている場合
上限超過でも申請は可能で、超過を理由に却下されることはありません。 ただし保護開始後に「基準内の物件への転居指導」を受けるのが一般的です。 指導による転居では、敷金等・引っ越し代が一時扶助として 支給される場合があり、自己負担なしで家賃水準を下げられる可能性があります。
家賃を滞納している状態での申請はどうなるか
滞納の有無は保護の要否判定に影響しません。ポイントは「過去の滞納分」と「これからの家賃」を 分けて考えることです。
| 対象 | 生活保護でカバーされるか | 対応 |
|---|---|---|
| これからの家賃 | 住宅扶助で支給される(上限内) | 代理納付にすれば新たな滞納を防げる |
| 過去の滞納分 | 保護費を返済に充てることは原則想定されていない | 保証会社に分割の相談。法テラスの無料相談も活用 |
| 立ち退きを迫られている場合 | 状況により住宅確保の支援につながる | 申請時に必ず伝える。退去強制の前に相談が鉄則 |
督促の電話には「申請中」と伝えてよい
生活保護の申請中・受給予定であることは、保証会社への説明材料になります。 「申請が通れば代理納付で家賃を確実に支払える」ことを伝えると、 督促の段階進行を待ってもらえる可能性があります。伝え方は電話のかけ方(台本)を参考にしてください。
申請の流れ5ステップ
福祉事務所へ行く
住まいのある自治体の福祉事務所が窓口です。電話で事前に相談日時を決めると待ち時間を減らせます。持ち物: 本人確認書類・通帳・賃貸借契約書。
「生活保護を申請します」と明確に伝える
「相談」だけで終わらせず申請の意思を伝えることが重要です。申請権は法律で保障されており、窓口で申請を拒むことはできません。
資産・収入の調査に協力する
預貯金・収入・扶養照会などの調査があります。原則14日以内(最長30日)に決定されます。
決定後、住宅扶助の代理納付を依頼する
家賃の支払いを福祉事務所から直接行う形にすれば、以後の滞納を防げます。
滞納分は別途、分割相談・法テラスで対応する
過去の滞納は消えないため、受給開始を伝えたうえで現実的な分割額を相談します。
窓口で渋られたときの対処(水際作戦への対策)
残念ながら、一部の窓口では「まだ働けるでしょ」「もう少し頑張って」と申請を受け付けない 対応(水際作戦)が報告されています。これは違法行為です。以下の対策を知っておいてください。
「申請します」と書面で伝える
口頭で断られた場合は、「生活保護申請書を提出します」と紙に書いて渡してください。書面による申請は受理する義務があります。
同行者を連れていく
支援団体やNPOのスタッフに同行してもらうと、窓口の対応が変わることがあります。法テラス(0570-078374)に電話すると、地域の支援団体を紹介してもらえます。
録音する
スマホで会話を録音しておくと、不当な対応があった場合の証拠になります。録音は合法です。
よくある失敗パターン
❌ 「生活保護は恥ずかしい」と申請しなかった
我慢し続けた結果、滞納が膨らみ強制退去に。住所を失うと再就職も生活保護の申請もさらに難しくなる。生活保護は権利であり、使うべきときに使うのが正しい判断。
❌ 窓口で「対象外」と言われて帰ってしまった
実際には対象だったが、窓口の誤った判断で帰されたケース。「申請します」と明確に伝えていれば受理されていた可能性が高い。
❌ 申請中に督促を無視し続けた
「申請が通れば解決する」と思い保証会社への連絡を怠った結果、申請中に契約解除に。申請中でも保証会社には状況を伝えるべき。
本音のQ&A
Q. 家賃を滞納していても生活保護は申請できる?
A. 申請できます。滞納の有無は保護の要否判定に影響しません。ただし保護費から過去の滞納分を返済に充てることは原則想定されていないため、滞納分は別途、管理会社・保証会社との分割相談や法テラスへの相談で対応する必要があります。
Q. 今の家賃が高すぎる場合、引っ越さないとだめ?
A. 上限を超えていると転居指導を受けるのが一般的です。ただし転居が必要になった場合、敷金・引っ越し代は一時扶助で支給される場合があり、自己負担なしで住み替えられる可能性があります。
Q. 窓口で「まだ働けるでしょ」と言われて帰された。どうすればいい?
A. 「申請します」と明確に伝えてください。申請権は生活保護法で保障されており、窓口で拒否することはできません(水際作戦と呼ばれる違法行為)。それでも受け付けてもらえない場合は、法テラス(0570-078374)や生活困窮者支援NPOに電話し、同行支援を依頼してください。
Q. 生活保護を受けると家族にバレる?
A. 扶養照会(親族に「援助できますか」と問い合わせる手続き)がありますが、2021年以降は本人が拒否すれば照会を控える運用が広がっています。DVや虐待がある場合は照会しないのが原則です。事前にケースワーカーに事情を伝えてください。
この記事を読んだあなたが今日やること(1つだけ)
お住まいの福祉事務所に電話してください。 「生活保護の申請について相談したい」と伝えるだけでOKです。 電話番号は「(自治体名) 福祉事務所」で検索すると出てきます。
電話が難しければ、法テラス(0570-078374)に電話して「生活保護の申請を手伝ってくれる団体を紹介してほしい」と伝えてください。